平成12年2月23日

 

心に栄養を

匿名
あなたには、病気の時に心配してくれる人がいるだろうか。
風邪をひいて熱を出したら、おかゆを作ってくれる人がいるだろうか。

 そんな家族がいる人は、それを当たり前のように思っているかもしれない。しかし、世の中には、そうではない人も多い。一人暮らしのある女性は、ちょっと風邪をひいただけでも回復が非常に遅いという。喉が渇いた、食欲はないがリンゴぐらいなら食べられそうだ・・・と思っても、熱があると起き上がって買い物に行く気がしない。少しは何か食べて元気をつけなくては、と思っても、おかゆでも何でも自分で作るしかない。その元気がないので、結局ひたすら寝ているだけだ。そこで、どんどん体力も落ちてくる。なかなか回復しないのである。風邪で入院する事もしばしばだ。「風邪くらいで入院なんて・・・」と思うかもしれない。しかし、家には看病する人もいない。入院して手当てしないと、たかが風邪でもこじらせてしまうのである。

 熱をだして寝ている枕元に、「少しでいいから食べなさい」といって、すりおろしたリンゴだの、おかゆを持って来てくれる家族がいる人は本当に幸せだ。身体を起こして少し食べたら、またすぐ横になる事ができる。高熱でふらふらの身体で、薬を買いに行く必要もない。誰かがあなたの面倒を見てくれる。

 疲れた時には、身体にも栄養が必要だが、心にも愛情という栄養が必要なのだろう。枕元に持って来てくれる一杯のおかゆには、そのどちらの栄養も入っているのである。

 心配してくれる人がいると、「早く元気になろう」という気持ちになる。
「お腹をこわしている時に、果物なんかダメだ。熱いお茶を飲みなさい」といってくれる人がいると、熱いお茶を飲もうを心がける。自分の身体をいたわって、早く良くなる事が、心配してくれる人への感謝の気持ちだ。自分が元気になる事が、与えてもらった愛情へのお返しである。

 心配してくれる人もいなかったら、自分の身体をいたわろうという気持ちが沸いてこない。自暴自棄、身体に悪いことを平気でして、どんどん身体を壊していく人がいるものだ。こういう人は、心が孤独なのだろう。
やはり愛情は何よりの栄養なのだ。

 


 motomu60@tf6.so-net.ne.jp Motomu Furugaito

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